ドジャースの山本由伸投手のピッチングフォームは「アーム投げ」だと言われます。
このブログ記事では、山本投手の「アーム投げ」についてと投球フォームの特徴3選などについてまとめました。
【写真】や【動画】をまじえて詳しく説明いたします。
【最新・追記】山本投手開幕2戦目の登板が発表される
こちらは、MBLの公式Xです。
山本由伸投手が開幕2戦目に先発することが発表されました。
開幕投手は、タイラー・グラスノー投手に譲ったもののいきなり開幕2戦目を任されるとは、球団からの大きな期待を感じますね。
どんなピッチングを見せてくれるか楽しみです。
Here are your starting pitcher matchups for next week's #SeoulSeries! 💪 pic.twitter.com/hPGT1o9luP
— MLB (@MLB) March 11, 2024
アーム投げとは
アーム投げとは・その意味
アーム投げとは、ヒジを使わずに伸ばしたまま投げるフォームのことです。
もう少し詳しく言うと、テイクバック(腕を後ろに引くこと)をヒジを伸ばして行い、腕を1本の棒のように伸ばしたまま投げるフォームです。
下の画像は、2015年当時の侍ジャパンU-18代表選手である佐藤世那選手(仙台育英学園高等学校 3年)のピッチングフォームです。
右腕を後ろに引く際、ヒジが伸びています。
そしてこのままヒジを曲げずに「グルン」と腕を回すイメージで投げるのがアーム投げです。
アーム投げの由来は、バッティングセンターで見かけるアームを旋回させてボールを投げるマシンにあります。ピッチングマシンのアームのような投げ方なので「アーム投げ」もしくは「アーム式」と言われます。
野球界では「アーム投げは一般的にはよくない」とされています。
理由は肩やヒジにかかる負担が大きく、ケガをしやすいからです。
アーム式ではないノーマルな投げ方とは
こちらは、2021年のアスレチックス戦に先発したエンゼルス時代の大谷選手のピッチングフォームです。
後ろに引かれた右腕のヒジが曲げられています。これがアーム投げ(アーム式)ではないノーマルとされる投げ方です。
ショートアームとは
こちらは、2020年7月のキャンプでのカブス時代のダルビッシュ投手のピッチングフォームです。
右ヒジを上の大谷選手に比べてより小さく折りたたんでいるのがわかります。
これは「ショートアーム」と言われる投げ方です。
「アーム」という文字が入っているのでアーム投げ(アーム式)の一種のように感じますがそれは間違いです。
ヒジと腕の使い方は、「ショートアーム」と「アーム投げ」は真逆の投げ方と言えます。
大谷選手も後に投球フォームをショートアームに徐々に変えていったとされています。
ショートアームは、ボールが自分の体に隠れる時間が長くなるため、バッターはボールの出どころがわかりにくくなります。
今は、このショートアームの投げ方が主流です。
山本投手のアーム投げ
山本投手のピッチングフォーム
下の動画は2020年9月の山本投手のピッチングフォームです。
山本投手は右腕を後ろに引く際、ヒジをあまり曲げずに腕を伸ばしたまま投げています。
先ほど説明した「アーム投げ」に分類されます。
また、こちらは山本投手の2020/6/21 オリックス対東北楽天のリーグ公式戦での投球です。
こちらの動画でもアーム投げを確認できます。
プロ入り2年目にアーム投げに変えた経緯
高卒でプロ入りした山本投手は、1シーズンを終えて2シーズンに向かうにあたって投球フォームを「ノーマル式」から「アーム投げ」に変更しました
山本投手は、1シーズンを通して自分の課題と向き合った結果「この投げ方が自分には合っている」と冷静に分析してフォーム改造に取り組みました。
しかしながら、春のキャンプで山本投手のアーム投げを見たオリックスの首脳陣は、山本投手にフォームをもとに戻すように指導をしました。
山本投手は、自身が信じて挑戦を始めたことが周囲の猛反対に遭いすべてを否定されるような感覚に陥りました。高卒2年目のルーキーなら首脳陣の言うことを聞いてしまいがちです。
でも山本選手には自分が信じたことをやり抜く力がありました。
『この投げ方でやっていきます』と山本投手をスカウトしてくれた山口氏を通じて、球団首脳に自分の考えを説明し理解を得ました。
そこから、山本投手の大活躍が始まりました。
山本投手のピッチングの特徴
山本投手のピッチングの特徴1 肩甲骨と肩関節の使い方
球団スタッフでスカウト担当の山口和男さんは山本投手のピッチングについて次のように解説しています。
山口さんは、1999年ドラフト1位でオリックスに入団した元投手で、2009年に現役を引退してスカウトに転身された方です。
山本投手のピッチングの特徴2 前足によるストライドの大きさ
山口さんは、次の点にも言及されています
画像で確かめてみます。2019年11月の日本対プエルトリコのシーンです
確かに前足である左足を大きく踏み出して投げています。通常のピッチャーよりも踏み出す幅が大きいです。
より速く大きく腕を触れて、スピードが生み出せるわけですね。
また、ストライドを長くとるため、腕が体に隠れてバッターから見えにくくなり、球の出どころが見にくいフォームになります。これも山本投手の投球の特徴です。
山本投手のピッチングの特徴3 胸部のしなやかさ
スカウトの山口さんとトレーナーの高島誠さんは次のように解説されています。
確かに胸をしなやかに使っているのがわかります(2020年のキャンプにて)
【追記】足を上げないフォームに変更
山本投手のフォームの特徴として、左足を高く上げずにすり足のように踏み出すことがあげられます。
2022年は、他のピッチャーのように左足をしっかりとあげる投げ方でしたが、2023年には今のように足を上げない投げ方に変わっています。
下の動画をクリックすると、この足の上げ方の変化について解説した部分が始まります。
- ステップや体重移動を高めていくうちにこの形になった
- ボールの「伸び」「強さ」を求めた結果、ボールの「球さ」がついてきた
- 160キロがでるようになってきた
- ある日を境にフォームを変えたというのではなく、自主トレ期間中に練習していくなかで徐々にこの形になった
- 自分で「フォームを大きく変えたという感覚はない」
この足の上げ方のフォーム改良により球速がより早くなりました。
・2022年 平均球速 151.9キロ
・2023年 平均球速 153.8キロ (+1.9キロ)
山本投手のトレーニング
やり投げトレーニング
山本投手は、投球フォームを磨くために独特な練習方法を取り入れています。
その一つがやり投げトレーニングです。
この調整、日本ではすでにお馴染みらしいけど、槍投げトレーニング初めて見た。フレーチャって #山本由伸 投手の提案で作られた器具なんだね。肘や肩を支点にせず胸や体幹を上手に使うためのものらしい。カーショウも興味津々のようだしMLBに革命を起こしそう#ドジャースpic.twitter.com/k6fxNlvVtG
— 鎌倉屋武士 (@kamakuraya48) February 11, 2024
このトレーニングは動画にあるような「やり」を投げるというトレーニングです。
「やり」と言っても陸上競技で使うやりではなく、プラスチックでできた70センチくらいの軽いものです。
スムーズな体重移動と力みを抜いて投げることを体に染み込ませることを狙いとしたトレーニングです。
ハンドボールトレーニング
山本投手は、オリックス時代からハンドボールを使った練習を続けています。
両方の手に持っているくまモンボールは、2019年に女子ハンドボール世界選手権熊本大会を記念した限定モデルです。
直径約14センチ、重さ約180グラムで、野球のボールよりも大きく重いものです。
このトレーニングで、肩と肘を使わないで、胸郭や下半身を連動させて投げる正しいフォームを体に定着させます。
正しいフォームが定着すると、ケガを防げるからです。
まとめ
山本由伸投手のピッチングフォームは、ヒジの使い方から一般的には「アーム投げ」と言われます。
オリックス時代に山本投手と深く関わってきたピッチングスタッフは「一般的なアーム投げではなく、合理的に体を使った独特な投球フォーム」であると週刊文春の記事で解説しています。
合わせて、山本投手のピッチングの特徴3選をご案内しました。
最後までお目通しいただきありがとうございました。