マンガ家の芦原妃名子さんがお亡くなりになられたことを、2024年1月28日各メディアが報じました。
自らの意思でご自身の人生に幕を閉じられたと報道されています。
背景には、マンガ「セクシー田中さん」のドラマ化にあたり、日本テレビとのトラブルがあったとされています。
この記事では、この経緯についてニュースでは報じきれない詳細について掘り下げていきます。
(2024年2月1日、ドラマ主演の木南晴夏さんと、高橋メアリージュンさんのコメント、およびご遺族のコメントを追記し、更新しました)
マンガ家の芦原妃名子さんがご逝去
・芦原さんの行方がわからなくなり、職場の関係者が警察に捜索願いを出した
・警視庁が2024年1月29日、栃木県日光市の川治ダムで芦原さんを発見
・現場の状況と自宅に遺書らしきものがあったことから、「自らの意思」と判断された
職場の方も芦原さんの様子がいつもと違うと心配したから警察に捜索願いを出されたのかな
所在がわからなくなることがないような、きちんとされた方だったんでしょうね
何があった?
一言でいえば、「脚本をめぐり日本テレビ側とトラブルになっていた」です。
・日本テレビが小学館を通じて芦原さんに「セクシー田中さん」のドラマ化を提案
・芦原さんは、ドラマ化するための前提条件として「原作に忠実にしていただきたい」を出した
・日本テレビ側がこれを承諾したため、2023年6月上旬に芦原さんはドラマ化に同意
・出来上がった脚本は、芦原さんとの約束が守られておらず、芦原さんと日本テレビとの間でトラブルになった
・紆余曲折を経て、ドラマは完成し2023年10月~12月に放送された(放送は終了している)
・放送終了後の2024年1月26日、芦原さんは自身のブログにこれらの経緯や考えを記していた
・このブログは削除されている。あわせて投稿されたXは残っている
・1月29日に、芦原さんが栃木県日光市で発見された
日本テレビとのやりとりが相当なストレスだったんでしょうね
芦原さんはこれまでこの他にも作品の映像化は経験されているので、こういうやりとりは初めてではなかったかもしれませんね
日本テレビ側の対応がひどかったということなのでしょうか
気になるブログの内容は
芦原さんのブログの内容(2024/1/26 14:31投稿)を下記に要約いたします。
長文であり、4つのボックスに分けて書きます。
芦原さんは、「この文章を書くにあたって、私と小学館で改めて時系列にそって事実関係を再確認し、文章の内容も小学館と確認して書いています」としており、感情的にならずに冷静に文章をつづっていることがうかがえます。
また、「9話と10話の脚本を(芦原さんが)書かざるを得なかった経緯や事情をきちんと伝えたい」とその趣旨を説明されています。
- ドラマが終了するまで、私たち(芦原さんと小学館)は脚本家と一度も会っていなかった
- ドラマ制作スタッフ(監督、演出)とドラマの内容について直接話す機会はなかった
- オファー当初、数話のプロットと脚本を事前にチェックさせてもらった
- そのうえで、次の条件を小学館から日本テレビ側に伝えてもらった
- ドラマ化するなら漫画に忠実にしてほしい
- 忠実でない場合は、加筆修正させていただきたい
- マンガ自体が完結していないため、ドラマでの結末回8話~10話については「原作者があらすじやセリフを用意する」ので、「用意したものは原則変更しないでいただきたい」
- 芦原さんは、このような条件を出すことは脚本家や監督など制作スタッフにとって失礼だと自覚していた
- だからこそ「この条件で本当に良いか」とということを小学館を通じて日本テレビに何度も確認した
- これらのやりとりを経て、2023年の6月上旬に(ドラマ化について)同意をした
芦原さんは小学館を通じて何度も「条件」を確認しているんだね
芦原さんのお気持ちやお考えがよくわかりますね。
- ところが、芦原さんに提出されるプロットや脚本は、毎回原作である漫画を大きく改編したものだった
- 具体的には
- 漫画で敢えてセオリーを外して描いた展開を、よくある王道の展開に変えられてしまう。
- 個性の強い各キャラクター、特に朱里・小西・進吾は原作から大きくかけ離れた別人のようなキャラクターに変更される。
- 「性被害未遂・アフターピル・男性の生きづらさ・小西と進吾の長い対話」等の作品の核として大切に描いたシーンが大幅にカットや削除され、まともに描かれていなかった。その理由を聞いても納得のいく返事はもらえなかった
- 他にも細かなところはたくさんあった
- 芦原さんは、なぜ変えてほしくないかという理由を説明し、それが無理なら「今からでもドラマ化をやめたいぐらいだ」と何度も訴え、粘りに粘って加筆修正し、やっとの思いでほぼ原作通りの1~7話の脚本完成までこぎつけた
- 私たち(芦原さんと小学館)とドラマ制作スタッフ(脚本家と監督など)とをつなぐのは、唯一プロデューサー(複数名)だった
- プロデューサーが、ドラマ化合意の前提となる「条件」をどのように制作スタッフに伝えているのか知る術はなかった
- 「ドラマ化の条件はどうなったのか」と思いながら、加筆修正の繰り返しで、相当疲弊した
芦田さんが大きなストレスを抱えて問題に向き合っていたのがわかりますね
孤独な闘いですね
- 8~10話にセリフを芦原さんは提出していたが、当初の約束は守られず大幅に改変された脚本が芦原さんにまとめて提出された
- 特に9話と10話の改変は大きく、しかもベリーダンスの表現の間違いも多かった
- 芦原さんが用意したセリフをそのまま脚本に落としてほしい旨、そのうえで変更や追加の意見を言ってほしいと旨を小学館から日本テレビに申し入れてもらった
- それでもその後も大幅に改変されたプロットや脚本が提出された
- それを小学館が日本テレビに、約束が違うとして戻されたと聞いている
- チーフプロデューサーが脚本家に「一度そのまま書くように」と指示したと聞いたが、状況が変わらぬまま4週間が過ぎ、ドラマ制作のスケジュールのリミットがどんどん迫った
- しかたなく8話だけ改変前の内容に修正して日本テレビに渡すことになった
- 9話と10話については、原作者が用意したものをそのまま脚本にしてくれる脚本家に換えてほしいと小学館を通じて正式に日本テレビに依頼した
- 1~8話までを書いた脚本家は、9話と10話については関わらないこととなった。
- 芦原さんが9話と10話の脚本を書き、日本テレビと専門家に内容を整えてもらうことになった
文章を読んでいて、芦原さんの苦悩が伝わってきてなんだか苦しくなりました
本当ですね。喜ぶべきドラマ化なのにどうしてこんな事になってしまったんでしょうか
制作側の混乱や大変さもなんとなく想像できてしまいます
- 芦原さんは「脚本について素人である」と認識したうえで、「皆さんに満足してもらえるような内容にしたかったが力不足だったとの思いだった
- 漫画の締め切りとも重なり、短期間での脚本執筆となり推敲が不足して悔いが残る
- ドラマを見た人の中には、9話と10話の脚本に不満を持った人もいたと思う
- どういう判断かベストだったのか、正直今でもわからない
- 素敵なドラマ作品にして頂いた、素晴らしいキャストの皆さんや、ドラマの制作スタッフの皆様と、「セクシー田中さん」の漫画とドラマを愛してくださった読者と視聴者の皆様に深く感謝いたします。
本業の漫画の締め切りもあるのに、自分の作品を守るために脚本を書かなければならなくなった芦原さんに同情してしまいます
芦原さんのブログは言葉遣いがとても丁寧ですね。こんな状況でも関係者への感謝の気持ちをしっかりと伝えられていて、胸がいたくなってきました
芦原さんのX
攻撃したかったわけじゃなくて。
— 芦原妃名子 (@ashihara_hina) January 28, 2024
ごめんなさい。
ブログに経緯を書いたことが誰かを攻撃してしまった、と思うに至った何かがあったのでしょうか
私は「マンガ家の先生は芸術家」だと思っています。繊細な方が多い印象です。
芦原さんの作品に対する思い
芦原さんは、「セクシー田中さん」についてブログで次のように語っておられます
芦原さんが大切にしたいもの、守りたいものがわかりました
こういう思いがあったから、日本テレビにドラマ化の条件を出したし、「この条件でいいのか」と何度も念押しをしたのですね
こうなってしまった原因は?
芦原さんのブログを読む限り、スタートの時点でボタンの掛け違いがあったと思われます。
原作者がドラマ化を同意する前提にした、「作品に忠実に」という約束が守られないのならば、すすめるべき案件ではなかったのだと思われます。
作品に忠実に作ってほしい原作者側、どうしても視聴率をとりたいテレビ局、間に入った出版社。
どこかに、日本テレビ側に「始めてしまえばなんとかなる」という思いがあったのでしょうか。
胸が痛いです。
木南晴夏さん(ドラマ主演)のコメント
2024年1月31日、木南さんが自身のインスタグラムストーリーで芦原さんに追悼しました。
主演を務めた木南さんは31日、「どうして、と思うばかりで、今の気持ちを表す言葉が見つかりません。先生ともっと話したかったです。田中さんの言葉は私の中にたくさん残ってます。心よりお悔やみ申し上げます。この悲しみが連鎖しないことを願います」と追悼。
引用元:Yahoo!ニュース
高橋メアリージュンさん(ドラマ出演・Miki役)のコメント
2024年1月31日、ベリーダンスのインストラクターの役を務めた高橋メアリージュンさんが自身のインスタグラムストーリーズでコメントされましてた。
高橋さんは「ショックがあまりに大きく、時間を置いた今も何と言っていいかわかりません。『残念』『悔しい』『悲しい』という言葉では足りません。最期の彼女の気持ちは彼女にしかわからないですが、こんな事一度として起こってほしくなかった。newsと彼女のSNSの情報しかしらないですが、彼女の尊厳と居場所はどんな理由があっても守られるべきでした。芦原先生の『セクシー田中さん』が大好きでした。落ち込んでる時に読んで励まされて背筋が伸びました。本当にありがとうございました。たくさんの方の心に寄り添って下さった先生の心と体がどうか今は安らかでありますように」とコメントしています。
引用元:Yahoo!ニュース
ご遺族のコメント
■遺族のコメント全文 突然、最愛の家族を失い、私たちは茫然自失のただ中におります。 取材のご依頼をいただいても、とてもお話できる状況にはありません。 また、こうした状況下、見知らぬ方から声をかけられることに怖れを抱いております。 どうぞ、今はそっとしておいていただき、静かに見守っていただければ幸いです。 よろしくお願い申し上げます。
引用元:Yahoo!ニュース
まとめ
芦原妃名子さんのブログの内容をもとに、内容をまとめました。
芦原妃名子さんのご冥福をお祈りいたします。
最後までお読みいただきありがとうございました。